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" 「銀座ルパン」と言えば、太宰治や坂口安吾など、昭和の文士たちに愛された老舗バーである。
20世紀の終わりも近づいていた1990年代半ば、まだまだ駆け出しの記者だった私は、某社の仕事で、ルパンの名バーテンダーである高崎武さんにインタビューをする機会を得た。
取材はつつがなく終わり、無事、本が出版された後、高崎さんから私宛に封書が送られてきた。
「良い記事を書いてくれてありがとうございます。取材を受けても、意に沿わない記事になることも少なくないなか、しっかりと書いていただきうれしく思います」という、お礼の手紙であった。
物書きの仕事を始めて、今年でちょうど20年になるのだが、後にも先にも、取材後にこのような丁寧なお礼の手紙をもらったことはない。
この高崎さんからの手紙は、記者としての私の宝物となっている。
後日、知り合いのとある茶道師範にこの話をすると、
「茶道では、茶会に招かれた翌日、お礼に行くことを『後礼』といいます。正式には、直接出向いてお礼をするのですが、現在はなにかと忙しい世の中ですから、手紙で後礼を申し上げることもありますね。いずれにしても、茶の湯の一期一会は茶室で終わるものではなく、後礼までを含めた縁(えにし)なのです。市村さん、良い勉強をされましたね」
と評してくれた。
高崎さんにいただいた後礼の手紙は、私に活きた「礼法」のあり方を教えてくれたように思う。
銀座ルパンの高崎武さんは、2008年7月18日、82歳で逝去された。"
新・流れ武芸者のつぶやき 雨水夜話/(身辺雑記) (via ginzuna)
(via darylfranz)